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地球の歴史区分に初めて日本の地名「チバニアン」

2020.9.7 掲載
地球の歴史の一時代が2020年1月、千葉の名前に由来する「チバニアン」(ラテン語で千葉時代)と命名されました。国際学会の国際地質科学連合が千葉県市原市の地層を77万4000年前から12万9000年前の様子を示す代表的な地層として承認しました。日本の地名が地球の年代名になったのは初めてです。地球の歴史はどのように区切られ、チバニアンにはどんなことが起こったのでしょうか。今回は命名の経緯などを含めて解説します。

2.最後の地磁気の逆転が起こったチバニアン

2.最後の地磁気の逆転が起こったチバニアン
 今回命名されたチバニアンは人類が発展した第四紀のうち、より古い時代の更新世(258万〜1万1700年前)の中の77万4000〜12万9000年前の期間で、現在の人類と同じ「ホモ・サピエンス」が出現した頃です。これまでは暫定的に「中期更新世」と呼んでいました。市原市にある地層が中期更新世の国際標準模式地となり、この地質時代がチバニアンと名付けられたことで、チバニアンが教科書や研究論文などで正式名称として使われます。
 市原市の地層が中期更新世の国際標準模式地に決まったのは、茨城大学や国立極地研究所などの研究チームがこの地層内に地球の磁気(地磁気)が過去に逆転したことの痕跡がはっきり記録されていたことを示したためです。
 方位磁石が指す方向を決める地磁気の向きはこれまで何度も逆転しています。現在は磁石のN極が北を、S極が南をそれぞれ指しますが、もし磁石があれば逆を指していた時代があったわけです。チバニアンは地磁気が今と逆だった最後の時代で、約77万年前に逆転が起きました。
 中期更新世に名称を刻む栄誉をめぐってはイタリアの2地点も候補に挙がっていましたが、国際地質科学連合は地層に残る地磁気逆転の記録が不明瞭だったことなどを理由に、市原市の地層に軍配を上げました。この時代の気候変動や生物種の状況などを研究する上で最も優れているとお墨付きを得たことになります。
2020年9月7日掲載