ビジュアル・ニュース解説

次世代の計算機・量子コンピューター、実用化へ前進

2020.7.6 掲載
次世代の超高速計算機として期待される量子コンピューターの研究開発が加速しています。米グーグルが量子コンピューターを使って複雑な計算問題をスーパーコンピューターより大幅に短い時間で解き、実用化への道筋が見えてきました。今回は量子コンピューターの動作の仕組みや、その活用分野、今後どのような問題が懸念されるかなどについて解説します。

3.ネットの暗号が破られる可能性に懸念

3.ネットの暗号が破られる可能性に懸念
 量子コンピューターの実用化が現実味をおびてきたことで、新たな社会問題が懸念されています。情報の改ざんや漏洩を防ぐためインターネットの通信などで広く利用されている暗号が、量子コンピューターを使って短時間で複雑な計算をすることによって破られてしまう可能性が指摘されています。仏タレスがまとめた「2020タレス データ脅威レポート」によると、調査対象企業の72%が今後5年以内に量子コンピューターの能力が自社のデータセキュリティーに影響を及ぼすと予想しています。
 この状況に対応し、既存の方式に代わる暗号技術への取り組みが徐々に活発化しています。電子証明書大手の米デジサートの日本法人、デジサート・ジャパンは量子コンピューター時代のセキュリティー対策を指南する「耐量子コンピューター暗号成熟度モデル」を公開。量子コンピューターの脅威に対するシステムの成熟度を測るモデルを示し、成熟度モデル別にセキュリティーリスクや具体的な取り組みなどを紹介しています。
2020年7月6日掲載