石油はエネルギー源として使用されるだけでなく、プラスチックや合成繊維などの化学製品の原料にもなる生活に欠かせない資源です。石油を産出する地域は限られており、サウジアラビアなどペルシャ湾周辺の中東や中央アジア、西シベリア、西アフリカ、北米のメキシコ湾岸などです。英BPの世界エネルギー統計によると、2018年の世界の石油生産量の41.5%をサウジアラビアやイラン、クウェートなど中東産油国を中心とする石油輸出国機構(OPEC)が占めており、そのほかは米国が16.2%、ロシアは12.1%などとなっています。日本でも小規模ながら秋田県、新潟県の日本海沿岸や北海道で石油が採掘されていますが、採掘量は国内の石油消費量の1%未満にとどまっています。
石油は地中に堆積した動植物の死骸が地圧や地熱を受けてできた化石燃料で限りがあるため、このまま採掘し続ければいずれ枯渇します。BPの世界エネルギー統計によれば、18年末時点の世界の石油確認埋蔵量は1兆7297億バレル(1バレル=約159リットル)で、これを18年の石油生産量で割った採掘できる年数は50.0年です。13年末時点ではそれぞれ1兆6941億バレル、53.6年だったので。採掘できる年数は5年間で3.6年短くなっただけでした。つまり、この間に約1.4年分の余裕が生まれたことになります。
これは技術革新によって、地下深くの頁岩(けつがん)層と呼ばれる硬い地層に含まれるシェールオイルの開発が米国で増えているほか、ベネズエラなどで従来は難しかった原油の採掘が期待できるようになったためです。