ビジュアル・ニュース解説

4K8K放送の普及、今後のコンテンツ拡大に期待

2020.4.20 掲載
高画質の映像が視聴できる4K8K放送が始まって1年以上たちました。消費増税前の駆け込み需要に加え、当初は2020年に予定されていた東京五輪・パラリンピックに向けて、4K8K放送を視聴できる機器は堅調に伸びているものの、政府の普及目標は大きく下回っています。今回は4K8K放送の概要をおさらいするとともに現状について解説します。

3.対応機器の普及は政府の目標を大きく下回る

3.対応機器の普及は政府の目標を大きく下回る
 4K8K放送開始から1年以上たち、対応チューナー内蔵テレビや外付けチューナーなど、4K8K放送を視聴できる機器の出荷台数は順調に伸びています。民放などでつくる放送サービス高度化推進協会によると、出荷台数は20年2月末時点で累計361万4000台に増えました。ただ、政府は20年に全国の世帯数の約50%に4Kを普及させる目標を掲げており、その目標をはるかに下回っています。目標通りに普及が進まないのは、4Kの特長を生かした番組がまだ少ないことが要因です。NHKはほぼすべての番組を4K撮影用の機材で制作していますが、民放BS5局の番組の多くは現行のフルハイビジョンの番組を4K並みに変換する処理をしたものです。民放各局にとっては機材コストの負担が大きく、4K用の機材整備が進んでいないからです。変換処理をした番組の画質は専用機材で制作したものより劣ります。民放の4K番組の拡大が今後の普及のカギを握っています。
 また、20年3月に始まった次世代通信規格「5G」は高速で大容量の通信ができ、4Kコンテンツの視聴にも対応します。今後は家庭の大画面テレビだけでなく、家の外でもスマートフォンやタブレット端末で4K映像が楽しめるようになれば、普及が一気に進みそうです。
2020年4月20日掲載