ビジュアル・ニュース解説

4K8K放送の普及、今後のコンテンツ拡大に期待

2020.4.20 掲載
高画質の映像が視聴できる4K8K放送が始まって1年以上たちました。消費増税前の駆け込み需要に加え、当初は2020年に予定されていた東京五輪・パラリンピックに向けて、4K8K放送を視聴できる機器は堅調に伸びているものの、政府の普及目標は大きく下回っています。今回は4K8K放送の概要をおさらいするとともに現状について解説します。

2.自然界に存在する色の99.9%を再現可能

2.自然界に存在する色の99.9%を再現可能
 4K8Kが優れている点は高精細だけではありません。フルハイビジョンの色の再現性が自然界に存在する肉眼で認識できる色の74.4%しか再現できなかったのに対し、4K8Kは99.9%を再現できる国際規格に対応しており、はるかに鮮やかな画像を映し出せます。つまり4K8Kなら、人が肉眼で見た色調をほぼそのまま再現できるということです。より多くの色を表現できるようになったのは、1画素当たりの表示できる色数が増えたためです。フルハイビジョンは約1677万色でしたが、4Kは約10億7374万色に拡大しており、色の明暗の変化がより自然に表せるようになりました。
 スポーツ中継などでリアルな映像を映し出すためには、人が走ったりジャンプしたりする映像を滑らかに表現する必要があります。4K8Kでは走査線を1本ずつ順番に送信する「プログレッシブ方式」を採用し、4Kなら2Kの2倍の1秒間に60コマ、8Kなら4倍の120コマの画面を送れます。このため1枚の画像のブレが少ない鮮明な画像が見られます。画面の明るさも飛躍的に向上しました。従来は明暗の差が大きいと、明るい部分が白くなったり、暗い部分は黒くつぶれてしまったりしがちでしたが、4K8Kはハイダイナミックレンジ(HDR)技術の採用で、明暗の違いがくっきり表現できるようになりました。
 4K8Kの放送は18年12月から本格的に始まりましたが、衛星放送の「BS」と「110度CS」での放送だけで、地上波では視聴できません。ケーブルテレビ(CATV)やインターネットテレビでも4K放送の同時再送信によるサービスが始まっています。8Kで放送しているのはNHKだけです。
 4K8K放送を楽しむためには対応した機器が要ります。8Kに対応したテレビはまだ少ないですが、今販売されているテレビの多くは4K対応となっています。4K放送を受信するためには、対応するアンテナやチューナーも必要です。既に4Kチューナーを内蔵したテレビが販売されています。このほかアンテナで受信した信号を増幅するブースターも対応したものに交換しなければなりません。
2020年4月20日掲載