がんゲノムの学術研究は医療の現場以外でも進んでいます。理化学研究所生命医科学研究センターや東京大学医科学研究所などが参加する国際共同研究グループは20年2月、38種類のがんの2800以上のゲノム解析をして4600万個を超える遺伝子の変異・異常を特定し、その特徴を明らかにしたと発表しました。
富士通研究所は19年11月、東大医科研との共同研究で、がんゲノム医療を効率化する人工知能(AI)技術を開発し、実証実験で効果を確認したと発表しました。がんゲノム医療は遺伝子変異から治療方針を導く検討作業に大きな手間がかかります。開発されたAI技術を使えば、大量の医学論文の内容を解析して治療方針につながる有効な知見・情報を抽出し、データベースの構築ができます。実証実験では東大医科研血液腫瘍内科での急性骨髄性白血病の治療方針検討作業にかかる時間を半分以下に削減できました。富士通研究所は愛知県がんセンターとも共同研究を進め、がんゲノム医療のためのAI技術の開発を目指しています。