がんゲノム医療は国を挙げた大きなプロジェクトで、18年に発足したC-CATを中心に、実際に患者の治療や支援を行う病院として、全国11カ所の中核拠点病院、34カ所の拠点病院、161カ所の連携病院が組織されています。
実際の治療は「がん患者の治療に当たる連携病院から、がんの症例情報をC-CATに、がんの検体を指定検査会社に提出」→「指定検査会社ががん遺伝子パネル検査を行い、検査結果をC-CATに提出」→「C-CATからの検査結果を基に、中核拠点病院・拠点病院がエキスパートパネルで治療方針を検討・決定し、連携病院に提案」という一連の手順を踏みます。
この体制はまだスタートしたばかりですが、がんが増殖する仕組みは複雑で遺伝子変異も多様なため、患者に適した治療法や薬は簡単には見つからないのが実情です。厚生労働省がまとめた調査によると、19年6~10月にがん遺伝子パネル検査を受けた805人のうち、患者に適した薬が見つかったのは88人(10.9%)にとどまりました。また、保険診療でがん遺伝子パネル検査を受けられるのは、既存の最適な治療法である「標準治療」がなかったり、その治療の効果がなかったりした場合のみという制約があるため、年間約100万人に上る国内のがん発症者のうち、がんゲノム医療の対象は1%程度に限られます。