ビジュアル・ニュース解説

南海トラフ地震発生なら大きな被害――地震はどのようにして起きる?

2020.3.2 掲載
周辺の地下の深部に複雑な構造があり、大地震が多発する日本。大きな被害が出た東日本大震災や熊本地震は記憶に新しいところです。将来、発生が予想される大地震として「南海トラフ地震」が注目されています。今回は地震が起きる仕組みや発生予測の現状などについて解説します。

3.南海トラフ沿いで異常現象を観測なら地震臨時情報を発表

3.南海トラフ沿いで異常現象を観測なら地震臨時情報を発表
 政府は1978年に制定された大規模地震対策特別措置法で、南海トラフの東端の静岡県の駿河湾付近で発生が想定される東海地震に対し、発生の数日前に予知ができることを前提に、地震が近く起きると判断されれば首相が警戒宣言を出して対応することにしていました。しかし、政府の中央防災会議の作業部会は2017年に「現在の科学的知見で予知は困難」と報告。現在は南海トラフ沿いで異常現象が観測されたときに「南海トラフ地震臨時情報」を出すことになっています。
 気象庁は臨時情報を出す3つのケースを挙げています。その1つは震源域の東西どちらかでM8以上の地震が起きる「半割れ」と呼ばれる場合で、もう一方の地域でも地震が起きる確率が高く、大地震の続発に警戒が必要です。1854年の安政東海地震は南海トラフの東半分で起き、32時間後に西半分で安政南海地震が続きました。1944年の昭和東南海地震も同様で、2年後に南海地震が起きました。政府は防災指針で半割れが発生したら、津波が襲来する沿岸部の住民に1週間の避難を求めることにしています。
 残り2つはM7~8未満の地震が起きる「一部割れ」と、震源域のプレートの一部が時間をかけてずれる「ゆっくりすべり」と呼ばれる場合です。これらの場合は大地震が続発する可能性が普段より一定程度高まると予測され、関係する地域の住民や企業に通常の生活や業務を続けながら警戒水準を上げることを求めます。
2020年3月2日掲載