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暦にうるう年があるのはなぜ?

2020.2.3 掲載
東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年は2月が29日まであるうるう年です。「4年に1度の五輪が開かれる年は必ずうるう年」と思っている人が多いでしょうが、実はうるう年でない年もあります。なぜそうなるのでしょうか? 今回は暦の歴史や成り立ちなどを紹介します。

2.太陰太陽暦はうるう月を設定し季節とのずれを解消

2.太陰太陽暦はうるう月を設定し季節とのずれを解消
 一方、暦には月の満ち欠けを基準にした太陰暦もあります。月は地球に対して約29.53日の周期で公転しています。太陰暦は月の満ち欠け1回の周期を1カ月とし、12カ月を1年とします。しかし、太陰暦の1年は約354日で、太陽暦の1年と比べ約11日短くなります。そのずれは3年で約1カ月となり、太陽の運行によって生じる季節と暦は一致しなくなります。そこで、うるう月を設けて1年を13カ月とすることで太陰暦のずれを調整する太陰太陽暦が生まれました。うるう月を19年に7回設けると、太陽暦とほぼ一致します。
 日本では古代から江戸時代初期まで中国の暦に基づく暦を使っており、江戸時代までは太陰太陽暦でした。日本でうるう月を設ける基準になったのが立春や春分、夏至などの二十四節気です。二十四節気は1年を日数や太陽の位置で24等分して12の節気と12の中気を交互に配してあり、中気を含まない月をうるう月としました。
 明治時代に入って欧化政策の本格化にともない、明治5年11月にグレゴリオ暦への改暦が決まり、旧暦の明治5年12月3日が新暦の明治6年1月1日とされました。改暦を主導した大隈重信は回顧録『大隈伯昔日譚』で、明治6年はうるう月がある年で、そのままでは月給制に移行したばかりの政府の役人に13カ月分の給料を支払う必要があるため、改暦で1カ月分の給料を節約したとも明かしています。
2020年2月3日掲載