ビジュアル・ニュース解説

大量データをけた違いに速く通信―5G商用化

2020.1.20 掲載
 大容量のデータを瞬時に送受信できる次世代通信規格「5G」の商用サービスが2020年春に国内で始まります。この特長を生かして、あらゆるモノがネットにつながるIoTを進める基盤となります。既に米国と韓国の通信大手などが商用化しており、他の国も相次ぎ導入する予定です。今回は5Gと現行規格との違いや今後、社会をどう変えるかなどについて解説します。

4.政府も通信網の整備促進へ税制優遇

 政府も5Gの普及を後押しします。自民、公明両党が決定した20年度税制改正大綱には、2年間の時限措置として5G通信網整備を促す税制が盛り込まれました。安全性の高い事業者を政府が認定し、5G基地局などへの投資額の15%を法人税から税額控除します。国内の携帯通信大手のほか、工場などで独自の5G通信網を構築する事業者も対象です。
 税制改正大綱に「安全性の高い事業者の認定」が明記された背景には、5Gを巡って経済安全保障への影響が懸念されていることがあります。米国は安全保障上のリスクを理由に、5Gなどの通信網整備で中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)などの関連機器を使わないよう同盟国に求めています。米国は「中国政府と関係性の深いファーウェイ製品を通じて情報を抜き取られかねない」と考えているからです。
 日本は米国に追随する方針ですが、ファーウェイの安価な製品は既にアフリカや中東、東南アジアなどに広がっており、米国の意向通りになるかどうかは不透明です。
2020年1月20日掲載