ビジュアル・ニュース解説

大量データをけた違いに速く通信―5G商用化

2020.1.20 掲載
 大容量のデータを瞬時に送受信できる次世代通信規格「5G」の商用サービスが2020年春に国内で始まります。この特長を生かして、あらゆるモノがネットにつながるIoTを進める基盤となります。既に米国と韓国の通信大手などが商用化しており、他の国も相次ぎ導入する予定です。今回は5Gと現行規格との違いや今後、社会をどう変えるかなどについて解説します。

3.動画配信企業はコンテンツ拡充、通信会社と連携も

3.動画配信企業はコンテンツ拡充、通信会社と連携も
 5Gをめぐって産業界の動きは活発化しています。19年4月にNTTドコモなど通信大手4社に5Gの周波数帯が割り当てられました。20年春の商用化に向けて、既に試験サービスが始まっています。電波は周波数が高いほどまっすぐに進みやすくなり、ビルなどの障害物で遮られると届きにくくなります。このため、通信各社は電波を特定方向に集中させて端末を狙い撃ちする「ビームフォーミング」を強化したり、電波を発する基地局を増やしたりするなどの対策を進めています。
 コンテンツ配信企業も5Gの商用化を控え、巨額の資金を投じてコンテンツを拡充しています。米ネットフリックスはコンテンツ獲得予算を増やし、19年は150億ドル(1兆6000億円)を投資。日本の通信大手と海外IT(情報技術)大手との動画配信を中心とした合従連衡も活発になっています。NTTドコモは19年12月から、米アマゾン・ドット・コムの日本法人と提携し、アマゾンの動画を契約者が追加料金なしで1年間視聴できるサービスを開始。KDDIは同年9月から、ネットフリックスの動画をデータ容量無制限で視聴できる新料金プランを提供しています。デジタルコンテンツ協会によると、動画配信の国内市場規模は23年には18年推計比で約3割増の2950億円になる見通しです。
 このほか、三菱電機とNECが5Gを活用して工場内の設備をネットでつないで稼働状況を管理する実証実験を共同で実施。ソフトバンクは19年6月、新東名高速道路で5Gを使ったトラック3台の隊列自動運転の実証実験に成功しました。
2020年1月20日掲載