代替食品のうち、最近最も話題となっているのは代替肉です。牛や豚、鳥、羊などの肉類は多くの国で食べられる主要なたんぱく質源ですが、代替肉が増えた背景には消費者の健康・環境志向の高まりがあります。
脂肪分が多い肉類など動物由来の食品を避けて、野菜などの植物由来の食品の食事を取る菜食主義者(ベジタリアン)は以前から知られていますが、近年は完全菜食主義者(ビーガン)も増えつつあります。ベジタリアンには肉は食べないけれども乳製品や卵、魚などは食べる人が含まれますが、ビーガンは動物由来の食品を一切取らず、野菜や穀物、豆類などの植物由来の食品しか食べません。
ベジタリアンもビーガンも必ずしも「高脂肪で高カロリーの食品を避けたい」という健康上の理由から特別な食行動をとっているわけではありません。「殺生を嫌う」「牛海綿状脳症(BSE)や鳥インフルエンザなど、食肉による病気を避ける」「植物由来の食品に比べ、肉製品は生産に必要なエネルギー量や二酸化炭素の排出量が多く、地球環境に与える負荷が大きい」などの倫理観や環境意識を持つ人もいます。ビーガンでなくても、食行動において同様の考え方を持つ人は欧米を中心に増えており、日本でも珍しくなくなりつつあります。そうした社会的変化に対応し、植物由来の肉の代替食品などが拡大しています。