欧米ではかつて本は貴重品で、図書館は宗教関連の施設などで本に触れられる人たちだけが利用できる特別な場所でした。15世紀に活版印刷技術が発明されて以降、本が大量に印刷できるようになり、一般の人も図書館に出入りできるようになりました。
日本には江戸時代、諸藩が藩士の子弟を教育した藩校や寺院などに蔵書を保管する文庫や書庫がありましたが、庶民は利用できませんでした。日本に現在のような近代的な図書館が設置されたのは明治時代です。文明開化は誰でも利用できる図書館の設置につながりました。福沢諭吉が英国の大英博物館の図書室を国内に初めて紹介。1872年に国によって東京・湯島に「書籍館(しょじゃくかん)」が、続いて同じ年に京都に国内初の公共図書館の「京都集書院」がそれぞれ設けられました。1897年には本格的な国立図書館として「帝国図書館」が設置されました。つまり日本の公共図書館の歴史は150年足らずです。