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勢力の強い台風上陸が増加、被害大きく

2019.10.7 掲載
ここ数年、勢力の強い台風の接近や上陸で大きな被害が出ています。2019年9月には台風15号が上陸し、千葉県を中心に猛威を振るいました。19年9月末までに発生した台風は18個で、そのうち日本に上陸したのは4個。平年(1981~2010年の平均)の上陸数の2.7個を既に上回っています。今回は台風がどのように発生し、被害が目立つ背景に何があるのかなどについて解説します。

1.最大風速が毎秒17.2メートルを超えると台風に

1.最大風速が毎秒17.2メートルを超えると台風に
 2019年9月5日に発生した台風15号は9日未明、千葉市付近に上陸。首都圏の鉄道は9日朝から午前中にかけて、運転見合わせや間引き運転を行い、通勤・通学の足が大幅に乱れて多くの駅に長蛇の列ができました。千葉県内では台風の猛烈な風による倒木や建物の倒壊で送電線が切れたり、鉄塔や電柱が折れたりしたため停電。しかも復旧に2週間以上かかり、水道ポンプが動かず断水も続きました。
 日本に接近、上陸する台風の多くは海面水温が高い南太平洋で発生します。高い海面水温によって、大量の水蒸気を含んだ空気が暖められて上昇気流が発生。上空で冷やされ、水蒸気が水滴に変わって積乱雲になります。水蒸気が水になる際、熱を放出して周囲の空気をさらに暖めて上昇気流が強まります。周りからは強い風が吹き込み、地球の自転の影響を受けて反時計回りに渦ができて熱帯低気圧になります。熱帯低気圧が発達し、最大風速(10分間平均)が毎秒17.2メートルを超えたものが台風です。
 熱帯低気圧は北西太平洋だけでなく、インド洋や南太平洋、北東太平洋、北大西洋などでも発生します。発達した熱帯低気圧のうち、インド洋や南太平洋で発生するものをサイクロン、北東太平洋や大西洋で発生するものはハリケーン、北西太平洋で発生するものをタイフーンと呼びます。
 ちなみに台風は日本では「台風15号」などと発生順に番号が付けられますが、アジアの13カ国・地域と米国が加盟する台風委員会によって国際的な名称も付けられています。あらかじめ用意された140個の名前を発生順に付けていき、一巡すると最初に戻ります。
 気象庁は台風の強さを3段階に分けており、「強い」とされるのは最大風速が毎秒33メートル以上、同44メートル未満で、「非常に強い」は同44メートル以上、同54メートル未満、「猛烈な」は同54メートル以上です。大きさは風速が毎秒15メートル以上の強風域の半径が500キロメートル以上800キロメートル未満なら「大型(大きい)」、800キロメートル以上は「超大型(非常に大きい)」としています。
2019年10月7日掲載