ビジュアル・ニュース解説

高齢ドライバーの事故多発、官民挙げて対策急ぐ

2019.9.16 掲載
高齢化が進むなか、お年寄りのドライバーの交通事故の多発が社会問題になっています。ブレーキとアクセルの踏み間違いによる暴走事故が増えているほか、道路の逆走や鉄道線路への侵入も目立ちます。問題の深刻化で、国や地方自治体は対策に乗り出し、民間企業も高齢ドライバーの支援に積極的に取り組んでいます。今回は高齢ドライバー問題の背景や官民の取り組みなどについて解説します。

3.運転免許証の自主返納増加の一方、地方ではなお車が生活の足に

 車の運転に不安を抱く高齢者などを対象に1998年から、運転免許証を自主的に返納してもらう制度が始まっています。高齢ドライバーが絡む死亡事故が相次いだこともあり、高齢者の運転免許証自主返納は増加傾向にあります。自主返納は2017年(約42万3000件)まで10年連続で増加していましたが、18年は約42万1000件と減少しました。ただ池袋の事故などの影響か、東京都内で19年6月に運転免許証を返納した人は約6000人に増え、1カ月当たりの返納数で過去最多を更新しました。
 同月に閣議決定された2019年度版の高齢社会白書によると、60歳以上を対象に行った調査では、外出時に車を運転する人は70代後半で45.7%、80歳以上で26.4%でしたが、60歳以上で自ら運転する車を外出の手段としている人のうち40.4%は「一定の年齢になったら運転をやめようと思う」と回答しました。その一方で「年齢や身体的な支障の有無にかかわらず、車の運転を続けようと思っている」と答えた人が11.5%に上っています。小規模の市町村ほど高齢者が車を運転する機会が多かったことも明らかになっており、地方では電車やバスなどの公共交通機関が整備されておらず、車が 高齢者の生活の足となっている実態が浮き彫りになっています。
2019年9月16日掲載