ビジュアル・ニュース解説

夏の風物詩の打ち上げ花火、地域活性化にも一役

2019.8.5 掲載
夏の風物詩としてすぐに思い浮かぶ花火。これから花火大会や夏祭りで打ち上げ花火を見る機会が増えるでしょう。花火見物が定着したのは江戸時代で300年以上の歴史があるとされます。花火大会は多くの集客が見込めるため、地域経済の活性化への貢献も期待されています。今回は打ち上げ花火の種類や仕組みなどについて解説します。

3.地域活性化などへ大きな波及効果も

3.地域活性化などへ大きな波及効果も
 花火玉の価格は1尺玉で5万~10万円、3尺玉で約150万円、4尺玉は約250万円です。高価な尺玉を打ち上げるためにはスポンサーの獲得が重要で、打ち上げる際にスポンサー名が告げられるのが一般的です。費用が安い小さな花火は個人が記念に打ち上げることも少なくありません。
 打ち上げ花火の製作はほとんど手作業です。花火師は球形に加工された外殻の中の空洞に星を並べて割薬を詰めます。花火の製造は火薬類取締法に規定された「製造作業に関する技術基準」と「保安管理技術」に基づいて行われ、花火製造の監督者は同法で定められた火薬類製造保安責任者免状を取得しなければなりません。この資格を取っても実地経験を積まなければ製造保安責任者になることはできません。
 国内の打ち上げ花火生産額は年間50億円程度で推移しています。2016年に日本政策投資銀行東北支店がまとめたリポートでは、花火産業の国内市場規模は年間約200億円としています。大きな花火大会だと100万人以上の観客を動員し、地域経済や旅行業界へ大きな波及効果が期待できます。近年、訪日外国人(インバウンド)が増加しており、20年夏には東京五輪・パラリンピックが開かれるため、さらに拡大することは確実です。首都圏はもとより、地方で開かれる花火大会にも多くの外国人観光客を集める好機となりそうです。
2019年8月5日掲載