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夏の風物詩の打ち上げ花火、地域活性化にも一役

2019.8.5 掲載
夏の風物詩としてすぐに思い浮かぶ花火。これから花火大会や夏祭りで打ち上げ花火を見る機会が増えるでしょう。花火見物が定着したのは江戸時代で300年以上の歴史があるとされます。花火大会は多くの集客が見込めるため、地域経済の活性化への貢献も期待されています。今回は打ち上げ花火の種類や仕組みなどについて解説します。

1.広がり方や形の違いで多くの種類

1.広がり方や形の違いで多くの種類
 8月初旬から旧盆までを中心に、全国各地で花火大会が開かれます。中でも日本三大花火大会とされるのが8月の「長岡まつり大花火大会」(新潟県長岡市)と「全国花火競技大会(通称・大曲の花火)」(秋田県大仙市)、10月の「土浦全国花火競技大会」(茨城県土浦市)です。大曲の花火と土浦全国花火競技会は花火師たちが腕を競う大会です。
 花火には昼間に祝砲として使われたり、イベントの開催などを告げたりする、音だけのものや音に加えて色のついた煙を出すものがあります。しかし、やはり花火でまずイメージするのは、夜空の四方に飛び散る火花や光跡、響く爆発音を楽しむ夜花火でしょう。
 夜花火は燃える火薬の飛散の仕方の違いによって様々な種類があります。一般的なのはドンと爆発音がした後に火花が円形に飛び散る「平割(ひらわり)」や、爆発音がした後に一瞬の間をおいて小さな花がたくさん開く「千輪(せんりん)」です。このほか、平割の中に二重に花を咲かせる「芯割(しんわり)」や、さらにもうひとつ小さな花が入る「八重芯(やえしん)」など、着火のタイミングに時間差をつけたものがあります。
 平割には破裂すると火の粉の筋が光跡を描くように四方八方に飛び散り、先端に様々な色の火の玉をつける「菊先(きくさき)」や、火の粉の光跡がキラキラ輝く「錦先(にしきさき)」、火の玉が光りながら広がる「牡丹(ぼたん)」など様々なバリエーションがあります。
 円盤状に広がったり、土星の輪のように広がったりする「型物(かたもの)」と呼ばれる花火もあります。見物客からひときわ大きな歓声があがるのが、広がった火の粉が地上に向かって降り注ぐ「錦冠(にしきかむろ)」や「銀冠(ぎんかむろ)」です。小さな花火が強い光を放ちながら四方八方へと飛び回る「青蜂(あおばち)」や「銀蜂(ぎんばち)」も人気があります。
 これらの様々な花火を組み合わせ、連続して打ち上げるのが「スターマイン」です。夜空を明るくする華やかさは花火大会を盛り上げます。大会のフィナーレに用いられることが多いのが「ナイアガラ」で、橋などに仕掛けられた花火から水が流れるように火花が流れ落ちます。スターマインやナイアガラは仕掛け花火と呼ばれます。
2019年8月5日掲載