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G20サミット、日本を議長国に初めて開催

2019.6.17 掲載
2019年6月28、29日の2日間、大阪で20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が開かれます。日本で開催されるのは初めてで、日本が議長国を務めます。世界の国内総生産(GDP)の80%以上を占める国々が集まって世界経済の安定成長について議論します。今回はG20サミットが生まれた経緯やどのような会議なのかなどについて解説します。

3.国内各地で11月まで関係閣僚会合を開催

3.国内各地で11月まで関係閣僚会合を開催
 19年のG20財務相・中央銀行総裁会議はサミットに先立ち6月8、9日の両日、日本が議長国となり福岡市で開かれました。会議では世界経済の下振れリスクに貿易摩擦の激化を挙げ、さらなる政策対応の準備があることを明記。デジタル経済に対応する国際法人課税ルールについて20年中に最終合意を目指すことを確認しました。このほか関係閣僚会合として、5月11、12日に新潟市で農相会合、6月8、9日に茨城県つくば市で貿易・デジタル経済相会合、6月15、16日には長野県軽井沢町でエネルギー・環境関係閣僚会合が開催されました。さらに9月1、2日に松山市で労働雇用相会合、10月19、20日に岡山市で保健相会合、10月25、26日に北海道倶知安町では観光相会合、11月22、23日には名古屋市で外相会合が予定されています。
 今回のG20サミットでは世界経済や貿易、エネルギー、デジタル社会のあり方などが話し合われますが、経常収支の不均衡の是正や途上国のインフラ開発が焦点となる見通しです。経常収支の赤字が飛びぬけて大きい米国のトランプ大統領は2国間交渉を重視していますが、日本は多国間で問題を捉え、モノの貿易だけでなくサービスや資本の取引を含めた議論を提起します。途上国のインフラ開発では、中国が広域経済圏構想の「一帯一路」の下、アジアやアフリカの低所得国への融資を増やし債務が急増していますが、開発計画が不十分で港湾や鉄道の開発の頓挫が相次いでいます。このため融資の規律を厳格化し、質の高いインフラ開発を促します。このほか、電子商取引の国際ルール策定の枠組みや、使い終えた人工衛星や打ち上げ時に切り離されたロケットの残骸などの宇宙ごみに関する国際ルールについても協議する見通しです。
 G7の存在感が低下する一方、G20の比重は高まっていますが、参加国が多いため利害の対立が起きやすく、一般論で合意できても個別の問題では具体策がまとまらないことも少なくありません。世界経済が不安定さを増すなか、経済の発展持続に向けてG20の果たす役割は大きいだけに、議長国である日本がサミットで議論をどうまとめるか手腕が問われます。
2019年6月17日掲載