ビジュアル・ニュース解説

世界の課題解決を目指すSDGs、企業の取り組み広がる

2019.6.3 掲載
貧困や飢餓の撲滅など世界が抱える課題を2030年までに解決することを目指す国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」への企業の取り組みが広がっています。SDGsは国だけでなく企業や非政府組織(NGO)など利害関係者すべてに参加を求めていることに加え、環境や社会、企業統治に優れた企業に投資するESG投資が地球温暖化対策をきっかけに活発になったことが背景にあります。今回はSDGsの概要や実現に向けた取り組みについて解説します。

3.企業の対応後押しへ経産省が研究会を設置

3.企業の対応後押しへ経産省が研究会を設置
 住友化学はアフリカでマラリアを媒介する蚊の侵入を防ぐのに役立つ蚊帳を販売しています。タンザニアの企業に無償で技術供与して生産することで、現地の雇用拡大にも寄与しています。味の素はガーナで、現地の乳幼児食であるトウモロコシのおかゆに加える栄養サプリメントを開発し、国際機関やNGOとともに販路を開拓しています。
 SDGsへの取り組みは製造業にとどまりません。伊藤忠商事はインドでオーガニックコットンの栽培を進めています。農家に遺伝子組み換えをしていない種を提供し、農法の指導者を派遣するとともに、オーガニックコットンをプレミアム付きで買い取ることを保証。日本国内でアパレル業界の協力を得てオーガニックコットンを使った衣料品の販売増を図っています。損保ジャパン日本興亜は東南アジアで、気候変動による小規模農家の収入減を補償する天候インデックス保険を開発して販売を拡大しています。
 これらの企業の動きを踏まえ、経済産業省は18年11月にSDGsを経営に取り入れ、ESG投資の呼び込みを後押しする「SDGs経営/ESG投資研究会」を発足させました。官民一体でSDGsへの取り組みを広げる方針です。
2019年6月3日掲載