日本政府は16年に首相ら閣僚からなるSDGs推進本部と、様々な分野のステークホルダーが意見交換するSDGs推進円卓会議を設置。①あらゆる人々の活躍推進②健康・長寿の達成③成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション④持続可能で強靭(きょうじん)な国土と質の高いインフラの整備⑤省・再生可能エネルギー、気候変動対策、循環型社会⑥生物多様性、森林、海洋などの環境の保全⑦平和と安全・安心社会の実現⑧SDGs実施推進の体制と手段――を優先課題とするSDGs実施指針を策定しました。
SDGs推進本部が18年にまとめた「SDGsアクションプラン2019」では上の図のように、①SDGsと連動する「Society5.0」の推進②SDGsを原動力とした地方創生、強靭かつ環境に優しい魅力的なまちづくり③SDGsの担い手として次世代・女性のエンパワーメント――を柱にSDGs実施指針を改訂し、指針の8つの優先課題への取り組みを拡充するとしています。
企業の間でもSDGsへの取り組みが広がっています。企業はこれまで社会的責任(CSR)の一環として法令順守や環境対策、社会貢献に取り組み、企業の価値向上の手段として位置付けてきました。
SDGsが世界共通の目標となったことで、企業にもSDGsの実現や定着への取り組みが求められています。既に多くの企業が環境対策や性的少数者(LGBT)などマイノリティーの差別排除、女性が活躍できる組織・風土づくりなどを推進していますが、一層の役割拡大が期待されています。その一方で、環境や社会、企業統治に優れた企業に投資するESG投資が拡大しており、国際団体GSIAによると世界のESG投資は18年時点で約31兆ドル(約3400兆円)に上ります。つまりSDGsに取り組まない企業は将来、投資引き上げの対象になりかねません。大企業だけでなく中小企業もSDGsへの取り組みを進めなければ取引に支障が出る恐れがあります。