ビジュアル・ニュース解説

世界の課題解決を目指すSDGs、企業の取り組み広がる

2019.6.3 掲載
貧困や飢餓の撲滅など世界が抱える課題を2030年までに解決することを目指す国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」への企業の取り組みが広がっています。SDGsは国だけでなく企業や非政府組織(NGO)など利害関係者すべてに参加を求めていることに加え、環境や社会、企業統治に優れた企業に投資するESG投資が地球温暖化対策をきっかけに活発になったことが背景にあります。今回はSDGsの概要や実現に向けた取り組みについて解説します。

1.2030年を期限に17の目標と169の具体策を設定

1.2030年を期限に17の目標と169の具体策を設定
 SDGsは「Sustainable Development Goals」の略で2015年の国連サミットで採択されました。「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現を目指し、30年を期限として上図で示した17の目標を掲げています。これらの目標の下に169の具体策が定められています。
 SDGsの前身で2000年に定められた「ミレニアム開発目標(MDGs)」は15年を期限に、先進国による発展途上国の支援を中心に①極度の貧困と飢餓の撲滅②初等教育の完全普及の達成③ジェンダー平等推進と女性の地位向上④乳幼児死亡率の削減⑤妊産婦の健康の改善⑥HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病のまん延防止⑦環境の持続可能性確保⑧開発のためのグローバルなパートナーシップの推進――を目標としました。MDGsは一定の成果を収めたものの、改善が進んだ国でも地域間で格差が拡大するなど課題が残ったため、SDGsは新たな課題を加えるとともに、先進国を対象に含めて国だけでなく企業などすべてのステークホルダー(利害関係者)に取り組みを求めました。
 社会で起きる様々な問題を地球上のどこでも解決していこうというのがSDGsの目的です。先進国だけでなく発展途上国を含めたすべての国が行動する普遍性、誰一人取り残さない包摂性、政府だけでなく企業や団体、個人など全てのステークホルダーが役割を担う参画性、社会・経済・環境の問題に総合的に取り組む統合性、定期的に検証し取り組みを検討する透明性を持つことが特徴です。
2019年6月3日掲載