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新茶の季節到来、海外でも日本茶の消費拡大

2019.5.20 掲載
新茶の出回る季節がやってきました。新茶とはその年の最初に芽吹いた新芽を摘み取ってつくったお茶で一番茶とも呼ばれます。旬のものを愛する日本人は毎年、爽やかな季節に届く新茶を待ち望んできました。健康志向の高まりなどが追い風になり、日本茶の海外への輸出も増えています。今回は私たちの生活に深く根付く日本茶について解説します。

1.緑茶も紅茶もウーロン茶ももとは同じ茶葉

1.緑茶も紅茶もウーロン茶ももとは同じ茶葉
 緑茶や紅茶、ウーロン茶は日本でよく飲まれているお茶ですが、実はそのもとはいずれもツバキ科ツバキ属の常緑樹、チャノキ(茶の木)です。緑茶はチャノキから摘み取った茶葉を加熱処理して発酵しないようにした不発酵茶です。これに対し、茶葉を完全に発酵させた発酵茶が紅茶、発酵途中で加熱処理して発酵を止めた半発酵茶がウーロン茶です。
 緑茶はさらに製法によって分けられます。代表的な緑茶の煎茶は蒸気の熱によって蒸すことで茶葉の発酵を止める、世界でも珍しい製法のお茶で、生産、消費ともほぼ日本に限られます。古くは文字通り、茶葉を熱湯で煮出していました。現在のように急須に入れた茶葉に熱湯を注いでお茶をいれる方式が主流となったのは江戸時代とされています。
 ほうじ茶は煎茶などを煎ったもので、苦みや渋みが少なくあっさりしているため食事中によく飲まれます。番茶は市場では成長した茶葉を使った規格外・低級品の緑茶を指し、普段使いのお茶や地場産のお茶を総称する場合もあります。
 このほか、収穫前の茶葉に一定期間覆いをして日光を遮る特殊な栽培法でつくられる玉露や碾茶(てんちゃ)があります。抹茶は碾茶を粉末状にしたもので、茶道で飲まれたり、お菓子やデザートの材料などに使われたりします。ちなみに玄米茶は番茶に煎った玄米を混ぜたもの。麦茶は大麦の種子を煎って煮出したもので、茶葉は含まれていません。
2019年5月20日掲載