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働き方改革関連法施行、進む働きやすい環境整備

2019.4.15 掲載
 働き方改革関連法が2019年4月に施行されました。まず大企業に対して残業時間を月100時間未満とする上限規制が設けられ、違反すると罰則が科されます。年5日間は有給休暇を取らせることの義務化や、時間ではなく成果を重視する脱時間給(高度プロフェッショナル)制度なども始まりました。人口が減るなか、働きやすい環境を整えることで生産性を向上させるのが狙いです。今回は働き方改革関連法の概要やその施行によって働く環境がどう変わるのか、企業の対応などを解説します。

4.テレワークや副業容認など多様な働き方への対応広がる

4.テレワークや副業容認など多様な働き方への対応広がる
 企業でも業務の効率化と人手不足の解消に向けて、より働きやすい環境をつくる働き方改革が進んでいます。働き方改革では高齢者や女性の労働力活用拡大もテーマです。女性活用でカギになるのは出産・育児休暇の取得とその後のキャリアアップです。出産・育児休暇を取得した女性社員が職場に復帰しても他の社員より昇進が遅れたり、休んでいる間に仕事の環境が変化してついていけなくなるのではないかとの不安を抱いたりすることが少なくありません。その対策として、育児期間に時短勤務を選べるようにしたり、子連れ出勤を認めたりする企業が出てきました。
 また、長寿化で親の介護が必要な社員が増えています。遠隔地にいる親を介護するためにやむなく退職することもあるため、遠隔地や自宅で勤務できるテレワークを導入する企業が増えてきました。テレワークならパソコンなどの端末を使って会議やミーティングに参加できます。通勤に必要な時間を介護に充てることもできます。テレワークによって業務効率の向上も図れます。例えば外回り中心の営業職はいちいち本社に通勤せずに取引先に直行して自宅へ直帰でき、時間を有効活用できます。主要なターミナル駅の近くにサテライトオフィスを設け、自宅から通いやすいサテライトオフィスを拠点にすることを認めている企業もあります。
 働く側もワークライフバランスを重視する傾向が強まっています。ある中堅機械メーカーが開発エンジニアを募集する際、在宅勤務制度があることを明記したら1人の募集に対し600人もの応募があり、新卒採用でも食品会社が在宅勤務制度をアピールしたところ女子の応募が急増した例がありました。ただ、業務の効率化で残業代が減って収入も落ち込む心配もあります。収入減を補うため、副業を認める企業も増えつつあり、多様な働き方への対応が進んでいます。
2019年4月15日掲載