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働き方改革関連法施行、進む働きやすい環境整備

2019.4.15 掲載
 働き方改革関連法が2019年4月に施行されました。まず大企業に対して残業時間を月100時間未満とする上限規制が設けられ、違反すると罰則が科されます。年5日間は有給休暇を取らせることの義務化や、時間ではなく成果を重視する脱時間給(高度プロフェッショナル)制度なども始まりました。人口が減るなか、働きやすい環境を整えることで生産性を向上させるのが狙いです。今回は働き方改革関連法の概要やその施行によって働く環境がどう変わるのか、企業の対応などを解説します。

3.残業時間の上限規制の厳格化や同一労働同一賃金

 働き方改革関連法の柱となるのが①残業時間の上限規制②同一労働・同一賃金③高度プロフェッショナル制度④有給休暇取得の義務化です。残業時間の上限規制は、残業時間を月45時間、年間360時間以内に抑制することを原則として、繁忙期でも月100時間未満、年間720時間以内に制限されます。2―6カ月の平均は80時間以内に抑えなければならず、月45時間を超えられるのは年6カ月までです。違反すれば罰金または懲役が科されます。まず19年4月から大企業を対象にし、中小企業は20年4月から適用されます。
 同一労働・同一賃金は雇用が正規か非正規かに関わらず、同じ仕事なら同じ賃金を支払うことが求められ、大企業は20年4月から、中小企業は21年4月から対象になります。高度プロフェッショナル制度の対象業務は、金融商品の開発やトレーダー・ディーラー、証券アナリスト、コンサルタント、医薬品の研究開発で、年収1075万円以上が条件です。対象の社員は仕事の成果で報酬が決まり、労働時間の規制から除外されて残業代や休日手当などは支払われません。年次有給休暇の取得義務化は年間10日以上有給休暇を取得できる労働者に、年5日は取らせるよう企業に義務付けました。
2019年4月15日掲載