がんは正常な細胞から発生した異常な細胞が増殖した塊です。血液のがんである白血病は、体の隅々に酸素を運ぶ赤血球や侵入した細菌、異物などから体を守る白血球などの血液細胞に遺伝子異常が起きて増殖が続くことで、正常な細胞が減少して本来の役割を果たせなくなり発症します。遺伝子異常が起きる原因やメカニズムはまだ解明されていません。国立がん研究センターが2018年5月に結果を公表した調査では、がんになった15~19歳の4分の1が白血病で、この世代では最も多くなっています。
白血病は「急性」と「慢性」があり、急性はがん細胞が急速に増殖し、慢性はゆっくり増殖します。急性白血病で血液中の正常な赤血球が減少すると、貧血を起こして息切れや動悸(どうき)などの症状が出ます。正常な白血球が減少すると、感染症にかかりやすくなって発熱などが起きます。慢性白血病はがん化した白血球などがゆっくり増加するため初期の段階では自覚症状がほとんどなく、健康診断などで偶然見つかることが多くなっています。
白血病は急性、慢性とも「骨髄性」と「リンパ性」に分かれます。骨髄性は赤血球などの血液細胞が骨髄(骨の中にある組織)内でつくられる過程でがん化して増殖し、がん細胞が骨髄を埋め尽くしたりあふれ出したりするものです。リンパ性は白血球の一種で免疫を担うリンパ球ががん化して増殖します。
白血病のうち最も多い急性骨髄性白血病は10万人に2、3人が発症し、白血病全体の40~50%を占めます。慢性骨髄性白血病の発症は10万人に1、2人の割合で、多いのは50歳代です。白血病は病気が進むと発熱や皮下の出血、臓器不全などの症状が表れるほか、細菌やウイルスに感染しやすくなり、治療しないと数カ月で死に至ります。近年は治療法の進歩で、急性骨髄性白血病の治療終了から4年後の生存率は60~70%程度になっています。