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日本産ワイン、品質向上で人気上昇

2018.12.17 掲載
日本産ワインの品質が向上し、人気が高まっています。国際コンクールで受賞するワインが出てきたほか、2018年10月から「日本ワイン」の表示ルールも厳格化されて信頼度やブランド力が向上。国内の大手メーカーは需要拡大を期待し、相次ぎ増産に動いています。今回はワインの基礎知識や日本での生産・消費の歴史、国内メーカーの動きなどについて解説します。

3.明治時代に甲府で始まった日本のワイン醸造

3.明治時代に甲府で始まった日本のワイン醸造
 日本で本格的にワイン生産が始まったのは明治時代です。明治政府が殖産興業政策の一環としてブドウ栽培とワイン醸造を奨励。江戸時代からブドウの名産地だった甲府に1870年(明治3年)、初めてワイン醸造所が設立され、国産ワインがつくられました。これをきっかけに各地にワインづくりが広がりました。
 しかし、当初は国内の消費者にワインは受け入れられませんでした。醸造技術が未熟だったうえ、ワインに適したブドウの品種が日本の気候に合わなかったり、渋みや酸みなど特有の味が日本の食生活になじまなかったりしたためです。そこで生まれたのが、砂糖やアルコール、香料などを加えた日本独自の甘味ワインです。1881年(明治14年)に輸入ワインに蜂蜜と漢方薬を加えた「蜂印香竄葡萄酒(はちじるしこうざんぶどうしゅ)」が発売され、1907年(明治40年)には寿屋(現サントリーワインインターナショナル)の「赤玉ポートワイン」が登場し人気を博しました。
 高度経済成長期の1970年代以降は食生活の欧米化が進み、ワインが本格的に飲まれるようになりました。72年に最初のブームが起こったのに続き、78年には1000円前後のワインが、バブル経済まっただ中の87~90年にはボージョレ・ヌーボーや高級ワインがそれぞれ人気を集めました。赤ワインに含まれるポリフェノールの老化を防ぐ効果が注目された97年には赤ワインの大ブームが起こり、国内消費市場は急拡大。2000年代以降はチリ産などの低価格ワインの輸入で、スーパーやコンビニエンスストアで気軽にワインを購入できるようになり、日常的に楽しむお酒として定着しました。
2018年12月17日掲載