ビジュアル・ニュース解説

魅力アップへ変わる博物館・美術館

2018.11.5 掲載
全国の博物館や美術館の改装や展示刷新が相次いでいます。インバウンド(訪日外国人)の来館への対応や体験型コンテンツの充実で集客拡大につなげるのが狙いです。芸術の秋に合わせ、博物館や美術館の新たな動きを紹介します。

4.体験型のコンテンツ拡充で集客増を目指す(1)

4.体験型のコンテンツ拡充で集客増を目指す(1)
 体感型コンテンツの拡充も目立ちます。滋賀県立琵琶湖博物館(滋賀県草津市)は18年7月、大人の探究心に応えるコーナー「おとなのディスカバリー」を新設。標本や剥製などの多様な資料を手に取り、顕微鏡や図鑑などを使って調べることができます。これに続き、11月には博物館から琵琶湖に向かう空中遊歩道「樹冠トレイル」がオープン。琵琶湖を眺めながら、隣接する森を上から観察できるようになりました。
 公営だけでなく、企業が運営する博物館の刷新も増えています。パナソニックは18年3月、「松下幸之助歴史館」を一新し、「パナソニックミュージアム」(大阪府門真市)を開設。創業者の経営理念や経歴を紹介するほか、これまでヒットした家電商品を展示しています。ミツカンは酢の歴史や製法などが学べる体験型博物館「ミツカンミュージアム」(愛知県半田市)を同年7月に改装し、訪日外国人向けにスマートフォン(スマホ)で英語の説明が聞けるようにしました。
 開業以来人気を博し、18年5月に来館者が累計で1000万人を突破した鉄道博物館(さいたま市)には18年7月、鉄道の仕事・歴史・未来をテーマにした新館がオープンしました。運転シミュレーターで実際の走行時の映像を見ながら新幹線や在来線の運転を体験できるほか、列車の運行や線路の整備など鉄道に関する仕事の紹介を充実させました。
 美術館の改装も目白押しです。日本画家の堂本印象の作品を展示する京都府立堂本印象美術館(京都市)は18年3月に、庭園を整備して野外展示やイベント開催ができるようにしました。
 島根県立美術館(松江市)は「こどもから大人まで、すべての人が楽しめる美術館へ」をコンセプトにミュージアムショップを拡充し、子ども向け図書スペースを新設しました。またスマホアプリを導入し、収蔵作品の一部(約120点)の英語・中国語・韓国語による解説サービスを始めました。
2018年11月5日掲載