ビジュアル・ニュース解説

魅力アップへ変わる博物館・美術館

2018.11.5 掲載
全国の博物館や美術館の改装や展示刷新が相次いでいます。インバウンド(訪日外国人)の来館への対応や体験型コンテンツの充実で集客拡大につなげるのが狙いです。芸術の秋に合わせ、博物館や美術館の新たな動きを紹介します。

3.訪日外国人の呼び込みなど観光振興へ施設を拡充

 近年、全国で博物館の改装や刷新が相次いでいます。主な狙いはインバウンドへの対応を含む観光振興です。
 観光名所として知られる華厳の滝のそばにある栃木県立日光自然博物館(栃木県日光市)は18年4月に英語で対応できるスタッフが常駐する外国人向け案内所を新設したほか、奥日光の歴史や自然を映像で紹介する「四季彩ホール」を改修し、英語・中国語・韓国語・タイ語に対応しました。周辺の観光スポットを自転車で回れるレンタサイクルも本格導入しました。同館がビジターセンターとなっている日光国立公園は、訪日客の呼び込みを狙う国の「国立公園満喫プロジェクト」の対象に選ばれており、訪日客の受け入れ体制整備の一環です。
 夕張市石炭博物館(北海道夕張市)は約2年間かけて全面改装し、18年4月に再開業しました。目玉の一つが改修された地下の模擬坑道です。実際に使われていた坑道を補強して180メートルに及ぶ採炭現場を再現。本物の石炭層に触れたり、坑道内の構造を間近で見たりできます。観光産業への過剰な投資で07年に財政破綻した夕張市は、同館を直営からNPO法人による運営に変更。地域の再生に向け、官民一体で再び観光振興に動きだしています。
2018年11月5日掲載