ビジュアル・ニュース解説

相次ぐ異常気象と予報について知る

2018.10.1 掲載
2018年の夏は記録的な猛暑や豪雨、台風の度重なる上陸などに見舞われ、大きな被害が出ました。海外でも熱波や豪雨などによる被害が広がりました。世界的な異常気象は地球温暖化と関係があるとの指摘があります。今回は異常気象のあらましや気象庁による監視・予報体制と新たな取り組み、18年夏に国内で起きた災害などについて解説します。

1.30年に1回以下の極めてまれな気象現象

1.30年に1回以下の極めてまれな気象現象
 異常気象は極めてまれな気象現象のことです。大雨や暴風など数時間で終わるものから、干ばつや極端な冷夏、暖冬など数カ月続くものまでさまざまです。気象庁は異常気象を「ある場所(地域)・ある時期(週、月、季節)において30年に1回以下で発生する現象」と定義しています。
 異常かどうかの基準は「平年値」です。同庁は過去30年間の気温や降水量などの平均を平年値としており、10年ごとに新たなデータに更新しています。異常気象の対象を広げ、大雨による土砂災害や少雨による作物の生育不良、竜巻による家屋の損壊など、災害を起こす激しい現象を指すこともあります。
 極端な高温、低温や多雨、少雨などの異常気象は世界各地でたびたび発生しています。発生の原因ははっきりしませんが、赤道に近い太平洋の海面の水温が平年より高い状態が1年程度続く「エルニーニョ現象」や、太平洋東部の海面の水温が平年より低い状態が続く「ラニーニャ現象」との関連が指摘されています。
 地球全体の異常気象が増加傾向にあるのか、気候変動の範囲内なのかは見解が分かれていますが、多くの科学者が近年の異常気象の要因の一つとして地球温暖化との関わりを指摘しています。
2018年10月1日掲載