ビジュアル・ニュース解説

サマータイムの利点と難点を知る

2018.9.17 掲載
夏に時計の針を進めることで、まだ明るい夕刻を余暇などにあてるサマータイム(夏時間)制度。2020年の東京五輪・パラリンピックの暑さ対策として導入論が出ています。欧米など60を超える国が実施していますが、欧州では健康への悪影響から廃止を求める声が強まっています。今回はサマータイム制度の概要や国内外の導入を巡る経緯、期待される効果と課題について解説します。

1.欧米を中心に夏の日照時間が長い60カ国以上で導入

1.欧米を中心に夏の日照時間が長い60カ国以上で導入
 夏の一定期間に国・地域全体で時刻を一律で1~2時間早めるサマータイム制度は、夏の長い日照時間を有効活用するため欧米などで広く導入されています。
 米国では「デイライト・セービング・タイム」と呼ばれ、3月の第2日曜日の午前1時59分59秒の次を3時00分00秒として時刻を一斉に1時間進め、夏時間が始まります。11月の第1日曜日の午前2時には元の時間に戻します。
 サマータイムの考え方は18世紀に米国の政治家で科学者のベンジャミン・フランクリンが駐仏大使だった時に提唱したといわれます。パリ市民が早起きし早寝をすれば、ろうそくの節約になると考えましたが実現しませんでした。その後、第1次大戦中にドイツや英国が燃料節約のため初めて実施しました。
 本格的に定着したのは1970年代に入ってからです。緯度が高く、夏と冬の日照時間の差が大きい国を中心に、世界で60を超える国で導入実績があります。ただ、緯度が低いアジアやアフリカでは年間を通じて日照時間の変化が少ないため、導入しているのは中東の国などに限られます。
2018年9月17日掲載