ビジュアル・ニュース解説

ドラッグストア業界好調、5%成長続く

2018.9.3 掲載
ドラッグストアの好調が続いています。最近は医薬品や日用品に加え、食品販売に力を入れるチェーンが増え、コンビニエンスストアやスーパーから利用客を奪っています。日本チェーンドラッグストア協会によると2016年度の市場規模は百貨店を上回り、17年度も2年連続で5%拡大しました。今回はドラッグストア業界の概要や成長の要因、今後の課題について解説します。

5.調剤機能の強化でさらに好調維持を目指す

 日本チェーンドラッグストア協会は25年までに、ドラッグストアの市場規模が10兆円になると予想しています。進む高齢化による健康・美容関連の商品やサービスの需要増が成長の追い風になります。政府は増え続ける医療費を抑制するため、患者自身が症状を判断し、薬剤師の助言などに沿って大衆薬を飲むセルフメディケーション(自主服薬)を税制などを通じて促しています。ドラッグストアは地域のセルフメディケーションの窓口・推進役として期待されており、これも今後の成長を後押ししそうです。
 ただ、目下の成長エンジンである食品はロスが多く、どこのドラッグストアでも食品が買えるようになれば利益率が低下し、業績が悪化するおそれがあります。これに加え、規制緩和によって異業種の医薬品販売への参入が増えています。09年の薬事法改正で、医薬品販売の専門家である登録販売者を店舗に配置すれば、薬剤師がいなくても大衆薬の一部が販売できるようになったためです。14年には大衆薬のインターネット販売が解禁され、ネット通販との競争激化も予想されます。
 成長維持に向けて、ドラッグストア各社は調剤機能の強化を急いでいます。幅広い商品をそろえるドラッグストアに処方箋を持つ患者が来店すれば「ついで買い」が期待できるからです。調剤の専門性を高めるため、マツモトキヨシHDやココカラファインは服薬情報の一元管理や24時間対応、地域住民の健康相談受け付けなど国の基準を満たす「健康サポート薬局」を増やしています。
 マツモトキヨシHDは同時に、強みとする健康・美容関連のサービスを強化した「マツキヨラボ」の出店を拡大しています。管理栄養士が常駐する「サプリメントバー」で来店客に対し、不足しているとみられる栄養素を補うサプリメントを提案するほか、肌の状態に合った化粧品のカウンセリング販売や薬剤師が生活習慣に助言するサービスも手がけています。
 ドラッグストアが食品市場の成熟後、健康・美容関連の強みを生かしながら、ネット通販との競合激化や参入する異業種にどう対抗するのかが注目されます。
2018年9月3日掲載