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Wi-Fi、ブルートゥース、NFC ~近距離無線通信について知る

2018.7.2 掲載
ワイヤレスでインターネットへの接続やデジタル機器同士のデータ交換ができる近距離無線通信。規格の種類は多く、特性の違いから適した用途が異なります。今回は主にスマートフォン(スマホ)で使われる近距離無線通信規格であるWi-Fi(ワイファイ)、ブルートゥース、NFCの基本的な仕組みや用途について解説します。

4.NFC ~かざすだけでデータをやり取り

4.NFC ~かざすだけでデータをやり取り
 NFCはソニーとオランダのフィリップス(現NXPセミコンダクターズ)が共同開発した非接触IC向けの無線通信規格で、2003年12月に国際標準規格になりました。
 通信速度はブルートゥースよりさらに遅く、通信距離は10センチメートル程度に限られます。機器にかざすだけで簡単に通信できるのが特徴で、サイズの小さなデータを一時的にやり取りするのに適しています。
 NFCに対応したスマホを読み取り機にかざすだけで、電子マネーやIC定期券を使うことができます。さまざまな非接触ICカードやタグのデータの読み書きもできます。例えばポスターや壁に付けた専用タグにNFCに対応したスマホをかざすだけで、そこに記載された情報を読み取れます。
 NFCに対応した端末間で文字や画像などのデータの送受信もできます。「ピア・ツー・ピア(P2P)」と呼ばれる使い方で、その代表例が「Androidビーム」です。NFCに対応したアンドロイド端末同士を近づけるだけで、手軽にメールなどのデータやスケジュール、画像などを送受信できます。
 NFCと似た近距離無線通信に、スマホ決済の「おサイフケータイ」などに採用されているソニーの非接触型ICカード規格「フェリカ」があります。フェリカはNFCの規格の一つですが、NFCと完全な互換性はありません。国内で販売されるスマホはかつて、フェリカ対応とNFC対応の2種類に分かれていましたが、現在ではフェリカとNFCの両方に対応したスマホが主流です。
 近距離無線通信はあらゆるモノをインターネットにつなぐことで、さまざまなデータを活用する「IoT」の技術の一つです。今後、身近な電子機器の利便性向上や産業活動の進歩につながる技術としてさらに活用が広がりそうです。
2018年7月2日掲載