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自民党総裁選について知る

2018.6.18 掲載
自民党総裁選が2018年9月に予定されています。投票に参加できるのは党所属の国会議員と党員・党友だけですが、衆参両院の議席の過半数を占める自民党トップの選挙は事実上、次の首相を決めます。総裁選に複数の候補が立てば、地方票の重みが増す初めての選挙となります。今回は自民党総裁選の仕組みや歴史、次の総裁選の注目点について解説します。

3.勝敗を左右する地方票の重み増す(1)

3.勝敗を左右する地方票の重み増す(1)
 自民党総裁選はかつて、国会議員と各都道府県連の代表のみの投票でしたが、1978年から全国の党員・党友による投票が取り入れられました。改革の発端になったのは76年に発覚したロッキード事件でした。田中角栄元首相が逮捕され、同年の衆院選で、自民党の公認候補の当選者数が結党以来初めて過半数を割り込みました。これをきっかけに自民党内で改革を求める声が強まり、78年の総裁選で党員による予備選が導入されました。党員・党友が投票する予備選で1、2位になった候補が、国会議員による本選挙に進む仕組みです。予備選は2回実施されただけでしたが、地方票は定着。現在は国会議員票と地方票が同時に投票・集計されます。
 地方票は本格的に導入後、総裁選の勝敗を左右してきました。地方票が勝敗を決定づけた典型が2001年の総裁選です。構造改革を訴えた小泉純一郎氏が地方票で他の候補を圧倒し、国会議員票でも1位になり大勝しました。
 これまでの総裁選のデータをみても、予備選が導入された1978年から直近の2012年までで複数候補で選挙をしたのは15回。このうち地方票の内訳がわかる12回で、地方票トップの候補の勝敗は11勝1敗です。負けたのは地方票1位の石破茂元幹事長と2位の安倍晋三氏が争い、地方票がなかった決選投票で安倍氏が勝った12年だけです。
2018年6月18日掲載