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高まるコーヒー人気~基礎と最新事情を知る

2018.5.21 掲載
国内のコーヒー消費量が増加傾向にあります。2016年まで4年連続で過去最高を更新し、17年も前年比微減となったものの高水準が続いています。コンビニエンスストアのいれたてコーヒー普及に加え、豆の品質や自家焙煎(ばいせん)、いれ方にこだわる「サードウエーブ(第3の波)コーヒー」の拡大などを背景にコーヒー市場が活気づき、大手カフェチェーンや関連メーカーは新たな商品やサービスを投入しています。今回はコーヒーの基礎知識や歴史、関連業界の動向について解説します。

3.イスラム圏から欧州、世界へと伝わる

3.イスラム圏から欧州、世界へと伝わる
 コーヒーノキの原産地はアフリカの現在のエチオピア説が有力です。焙煎した豆を粉にし、抽出して飲まれるようになったのは13世紀以降です。当初は主にイスラム教徒に親しまれ、17世紀に欧州にも広がりました。コーヒー栽培の適地がない欧州各国は、17~18世紀にコーヒーベルトに位置する植民地でのコーヒー栽培を始め、世界最大の産地のブラジルにも種子と苗木が渡りました。
 日本にコーヒーが伝わったのは江戸時代中期です。1858年の日米修好通商条約の締結を契機にコーヒー豆が正式に輸入できるようになり、1888年には国内初の本格的な喫茶店「可否茶館」が東京・上野に開業。大正から昭和初期にかけて各地で喫茶店が次々に開店し、コーヒー文化が根付きました。戦後の高度経済成長期には身近な飲み物として急速に普及し、豆の輸入量は急拡大しました。
 戦後、コーヒー普及に一役買ったのがインスタントコーヒーと缶コーヒーです。インスタントコーヒーは1960年にコーヒー豆の輸入が全面自由化されたことで国内生産が始まり、家庭に浸透しました。缶コーヒーは69年に上島珈琲(現在のUCC上島珈琲)が砂糖・ミルク入りの缶コーヒーを発売したのをきっかけに、自動販売機の普及につれて売り上げを伸ばしました。
 コーヒー産業を構成するのは、コーヒー豆の生産から焙煎、加工、販売までを手掛けるコーヒー会社(UCC上島珈琲やキーコーヒーなど)、インスタントコーヒーやレギュラーコーヒーを製造・販売する食品メーカー(ネスレ日本や味の素AGFなど)、缶やボトル入りのコーヒー飲料を製造・販売する飲料メーカー(日本コカ・コーラやサントリー食品インターナショナルなど)、店舗でコーヒーを提供するカフェチェーン(スターバックスコーヒージャパンやドトールコーヒーなど)や外食店です。このほか、小規模のコーヒー焙煎加工、販売業者や喫茶店、カフェもコーヒー産業・文化を支えています。
2018年5月21日掲載