半導体の歴史は1947年の米国のベル研究所によるトランジスタの発明から始まります。トランジスタはそれまで電流の増幅装置の主流だった真空管に比べてはるかに小型で消費電力が少なく長寿命です。55年には東京通信工業(現ソニー)がトランジスタを利用したラジオを発売。小型・軽量で消費電力が少なく、一気に普及しました。60年代にはICが実用段階に入り、より複雑な情報処理ができるようになりました。集積度の高まりで、電卓やクオーツ時計からカラーテレビ、VTR、テレビゲーム、CDプレーヤーなど、より複雑な回路の新しい電子機器が生み出されました。
半導体の高集積化はコンピューターの性能の飛躍的な向上に貢献しました。70年代には情報処理能力を大幅に高めたDRAMやMPUが開発され、その後のパソコン時代の到来につながりました。今ではスマホやタブレットなどの携帯情報端末から家電製品、自動車、産業用ロボットにいたるまで、あらゆる機器に半導体が使われています。産業活動や社会生活に欠かせない半導体の世界市場規模は、登場から100年もたたないうちに約40兆円に拡大しました。