ビジュアル・ニュース解説

半導体業界の現状を知る

2018.4.16 掲載
半導体市場の活況が続いています。スマートフォン(スマホ)など携帯端末の高機能化に加え、あらゆるモノがインターネットにつながるIoTや人工知能(AI)、自動運転などの次世代技術の登場で需要増が見込まれ、関連企業の設備投資やM&A(合併・買収)が活発になっています。今回は半導体とは何かや、半導体産業のこれまでの歴史や今後の展望などについて解説します。

1.集積度が高まり、1つで様々な機能を担う

1.集積度が高まり、1つで様々な機能を担う
 半導体は鉄や銅などの金属のように電気をよく通す「導体」と、ゴムやガラスのように電気を通さない「絶縁体」との中間の性質を持つ物質です。代表的なものとしてシリコンやゲルマニウムが知られています。
 電気の流れやすさは物質の電気抵抗の大きさと関係します。電気抵抗が大きければ電流は流れにくく、小さければ流れやすくなります。半導体の特徴はわずかな不純物を添加するだけで電気抵抗が大きく変化することです。この特性を利用して、電流を一方向にだけ流すダイオードや、電流を大きくしたり、流したり止めたりするトランジスタなどの電子部品がつくられます。半導体と言えば通常、半導体を用いた電子部品を指します。
 半導体には記憶装置であるメモリー(DRAMやフラッシュメモリー)、コンピューターの頭脳であるマイクロプロセッサー(MPU)、電圧をかけると赤や緑などの光を出す発光ダイオード(LED)、光の明暗を電気信号に変換して画像をとらえるイメージセンサーなど、さまざまな種類があります。
 半導体は電子部品がどれだけ集められているかを示す集積度によっても分類できます。集積度が最も低く、1つの機能しか持たない半導体は個別半導体と呼ばれ、トランジスタやダイオードなどがこれに含まれます。次に集積度の高いのがIC(集積回路)で、トランジスタなど複数の電子部品を1つの半導体基板上に載せたものです。ICの集積度を高めて1000個以上の電子部品を集めたのがLSI(大規模集積回路)で、さらにメモリーやMPUなど複数の機能を持つ部品をまとめたのがシステムLSIです。基板は約1センチメートル角で、ナノ(ナノは10億分の1)メートルレベルの大きさのトランジスタなどが搭載されています。半導体の集積度が高まるにつれ、1つでさまざまな機能を担えるようになりました。
2018年4月16日掲載