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GDPについて知る

2018.4.2 掲載
国内総生産(GDP)は国の経済規模や景気動向を表す指標です。好調な輸出と設備投資を背景に、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値は年率換算で2017年10~12月期まで8四半期連続増加しています。政府は近年、GDPがより経済の実態を反映するよう算出方法の見直しを進めています。今回はGDPの概要や経済成長率の推移、政府のGDP統計改革について解説します。

3.2010年に中国に抜かれ世界3位に

3.2010年に中国に抜かれ世界3位に
 日本のGDPは1950年代半ばまでは10兆円に満たない規模でしたが、高度経済成長期の68年に米国に次ぐ2位となり、70年代には100兆円を突破。この間の経済成長率は年平均で10%前後を記録しました。
 70年代半ばから経済成長率は鈍化しはじめます。バブル景気と呼ばれた80年代後半の好況で一時的に経済成長率は高まりましたが、最高でも6%程度でした。90年代前半のバブル崩壊以降、日本経済は長い不況に突入。GDPは低迷し、経済成長率はたびたびマイナスを記録します。2008年秋に米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破たんをきっかけとする世界的な金融危機(リーマン・ショック)が発生。この影響で08年度のGDPは戦後最大の減少幅(実質3.4%減、11年基準・国連が09年2月に採択した国際基準に基づく)を記録し、10年には名目GDPで中国に抜かれて世界3位となりました。
 12年末に第2次安倍政権が発足して以降、安倍首相の経済政策「アベノミクス」により円安が進み、輸出産業を中心に業績が回復。14年4月の消費増税の影響で景気は一時失速したものの、その後は堅調に推移しています。17年10~12月期のGDP改定値は実質の季節調整値で前期比0.4%増、年率換算で1.6%増で、プラス成長が2年間続いています。
2018年4月2日掲載