物価が下がり続ける現象をデフレーション(デフレ)、逆に上昇が継続する現象をインフレーション(インフレ)といいます。日本経済は90年代半ばからデフレ状態が続いているとされます。日銀はデフレ脱却を図るため低金利政策を続け、99年2月には短期金利をゼロに近づけるゼロ金利政策を導入しました。世界でも前例のない金融緩和策でした。
2008年秋の米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破たんをきっかけとする世界的な金融危機(リーマン・ショック)に対応するため、FRBも同年12月、フェデラルファンド金利(FF金利)を年0~0.25%に誘導するゼロ金利政策を導入しました。
金利がゼロ%に近づくと、それ以上引き下げることができません。さらに金融緩和を進めるため、中央銀行は金利の誘導ではなく、金融機関が持つ国債などを大量に買い取ることで市中に資金を供給する量的緩和政策を導入しました。日銀が01年に初めて実施し、リーマン・ショック後にはFRBなども導入しました。
ただ、市中に出回る国債などは限りがあり、量的緩和の長期継続には限界もあります。近年は堅調な経済環境を踏まえ、FRBなどは金融政策の正常化に向けた出口戦略を進め始めています。
FRBは14年10月に量的緩和を終了。15年12月にFF金利を引き上げました。17年10月からは量的緩和によって膨らんだ保有資産の段階的な圧縮を始めました。18年2月に就任したパウエル議長も段階的な利上げの方針を引き継ぐとみられます。