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シェアリングエコノミーについて知る

2018.3.5 掲載
モノや場所、サービスを融通し合うシェアリングエコノミーが急速に広がりつつあります。住宅に旅行者を有料で泊める民泊を本格解禁する法律が2018年6月に施行されるのを控え、企業の参入が相次いでいます。今回はシェアリングエコノミーの考え方や事業、普及への課題などについて解説します。

5.民泊の全国解禁で企業参入相次ぐ

 国内では民泊はこれまで、法的な位置付けがあいまいなまま利用が先行していました。マンションの所有者が1室を貸し出すことが多く、騒音を出したりゴミ出しルールを守らないなどのマナー違反によるトラブルが頻発しています。仲介業者の信頼度を測る仕組みがなく、防災や防犯、衛生面などへの不安を指摘する声もあります。安全で安心できる民泊が求められていることに対応し、民泊を全国的に解禁する住宅宿泊事業法(民泊法)が18年6月に施行されます。貸し手に都道府県への届け出を、仲介業者に観光庁への登録をそれぞれ義務づけ、届け出さえすれば誰でも民泊を営めるようになります。これによって普及が加速するとみて、楽天やKDDIグループ、JTBなどの企業が相次ぎ民泊ビジネスに参入しています。ただ、日本の民泊への規制は海外に比べると依然厳しく、本格的な普及に向けてさらに規制緩和が必要との声もあります。
 一方、ライドシェアに対する法整備は進んでいません。都市部でのライドシェアのニーズは大きく、公共交通が乏しい過疎地では新たな移動手段になる可能性があります。しかし、現状では自家用車に有料で乗客を乗せることは「白タク」と呼ばれる違法行為で、一部地域での試験的な営業にとどまっています。
 安全や安心の確保は当然ですが、過度の規制はシェアリングエコノミーの市場拡大を妨げかねません。既存の法を当てはめるのではなく、普及を促す新たなルールづくりが求められています。
2018年3月5日掲載