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平昌五輪が開幕へ~冬季五輪について知る

2018.2.5 掲載
第23回冬季五輪が2018年2月、韓国の平昌で開幕します。冬季五輪のアジアでの開催は1998年の長野大会以来です。4年前のソチ大会で日本が得たメダルは8個。今大会でこれを上回るメダルを獲得し、20年の東京五輪につなげることが期待されます。今回は冬季五輪の歴史や概要、競技・種目、平昌五輪の見どころなどについて解説します。

3.天候の変化に左右されやすい運営

3.天候の変化に左右されやすい運営
 冬季五輪は開催都市が寒冷地に限られ、運営が天候の変化に左右されやすいのが特徴です。サンモリッツ大会では暖冬でリンクの氷が溶け、ボブスレーやスピードスケートの競技進行に影響が出ました。32年に開かれたレークプラシッド大会では雪不足のため、隣国のカナダから雪を運びました。
 長野大会も悪天候に悩まされ、スキーのアルペン競技の日程が大幅に変わったり、ジャンプ競技の一部が一時中断したりしました。日程変更やコース状況の悪化は選手たちのコンディション維持に影響し失格・棄権が続出したため、コースの整備不足を批判する声が上がりました。平昌大会でもスキーのジャンプの会場は強い風が吹きやすいため、競技の運営や勝敗に影響を与える可能性があります。
 競技環境の良しあしは選手の命にも関わります。コースを猛スピードで滑り降りたり、高所からジャンプしたりする競技は迫力とスリルが魅力ですが、選手は常に危険と隣り合わせです。64年のインスブルック大会ではオーストラリアのアルペンスキーの選手と英国のリュージュの選手が、92年のアルベールビル大会ではスイスのスピードスキー(公開競技)の選手が、2010年のバンクーバー大会ではジョージア(グルジア)のリュージュの選手がそれぞれ練習中に死亡する事故が起きています。
 山間部の林野を切りひらいてスキーコースを整備するなど、自然破壊を招きやすい面もあります。札幌大会ではアルペンスキーの滑降コース開設が自然環境を破壊するとの批判があり、大会終了後に原状復元工事が行われました。現在は夏季・冬季を問わず、五輪開催では環境への配慮が欠かせなくなっています。
 出場国の多くは寒冷地がある国・地域ですが、近年は熱帯に位置する国などの参加もあり、参加国・地域数は増えています。熱帯にある国で初めて冬季五輪に参加したのはフィリピンで、札幌大会にアルペンスキーの選手2人を派遣しました。1980年のレークプラシッド大会にはコスタリカが出場。94年のリレハンメル大会ではジャマイカのボブスレーチームが14位となり、冬の競技でも運動能力の高さを証明しました。2006年のトリノ大会ではアフリカのエチオピアとマダガスカルが初出場しました。
2018年2月5日掲載