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つみたてNISAについて知る

2018.1.15 掲載
個人の長期投資の促進を狙って2014年に導入された少額投資非課税制度(NISA)。18年1月から新たに「つみたてNISA」が始まりました。投資の値上がり分や分配金が課税されない枠は年40万円と、これまでのNISAの年120万円より小さいものの、運用益に課税されない期間が20年と長いため、長期の資産形成に向いています。今回はNISA導入の経緯やつみたてNISAの概要、投資する際に何に注意したらいいかなどについて解説します。

4.長期投資に向く投信130本以上対象

4.長期投資に向く投信130本以上対象
 一般のNISAの投資対象は公募株式投資信託と上場投資信託(ETF)のほか、上場株式や不動産投資信託(REIT)なども含まれます。これに対して、つみたてNISAの対象は長期の積み立て・分散投資に適しているという観点から金融庁が選び、一定の条件を満たした公募株式投信とETFに限られます。
 対象となる公募株式投信に共通する要件は販売手数料が無料、保有期間中にかかる信託報酬が一定水準以下、設定日から償還までが無期限または20年以上などです。日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)などの指数に連動した運用成果を目指すインデックス型が中心で、インデックス型は信託報酬が国内資産が対象なら年0.5%以下、海外資産を対象とするものは同0.75%以下のみが選ばれています。長期投資では運用コストが成果に大きな影響を与えるためです。指数を上回る収益率を目指すアクティブ型などインデックス型以外の公募株式投信については別の要件があります。
 毎月分配型投信は対象外です。投資家に運用益の一部を毎月分配すると再投資に回す金額が減って複利効果を得にくくなり、長期投資には向かないためです。つみたてNISAの対象商品は17年12月18日時点で投信132本、ETFが3本の計135本です。
 つみたてNISAは一般のNISAと同時に利用できず、年ごとにいずれかを選ばなければなりません。投資できる期間は一般のNISAが23年までなのに対し、つみたてNISAは37年までなので、非課税で長期運用したい場合はつみたてNISAが向いています。一方、期間が短くても株式などにも投資したい、年間の投資限度額が多い方がいいと考える人には一般のNISAが適しています。つみたてNISAは金融機関によって取り扱う対象投信の数や種類、積み立てできる最低の金額や頻度などが異なる点にも注意が必要です。
 つみたてNISAの対象商品の数は約6200本ある公募投信の2%にとどまり、投資家にとって選択肢が多いとは言えません。NISAはいずれも恒久的な制度ではないため、投資家が安心して利用しづらいとの指摘もあります。制度の利用拡大を促し「貯蓄から投資へ」の流れを加速させるには、国民への制度の周知徹底と、制度をより利用しやすいように改善していくことがカギとなりそうです。
2018年1月15日掲載