ビジュアル・ニュース解説

次世代無線通信規格の5Gでどう変わる?

2017.11.6 掲載
次世代の超高速通信規格「第5世代(5G)」のサービスが2020年にも始まります。自動運転車の安全走行を支え、あらゆるモノがインターネットにつながるIoTの基盤として期待されており、国内外の通信大手が関連サービスの開発を急いでいます。今回は5Gまでの無線通信規格の進化の経緯、5G導入の暮らしや産業への影響、導入スケジュールや通信各社の実用化への課題について解説します。

1.超高速・大容量で高精細な映像をスムーズにやりとり

1.超高速・大容量で高精細な映像をスムーズにやりとり
 5Gは現在の第4世代(4G)の後継の無線通信規格です。無線通信規格はこれまで、およそ10年をサイクルに進化しており、「~世代(G=Generation)」という呼称はその段階を示します。1980年代にスタートした第1世代(1G)はアナログ方式で、用途は音声通話だけでした。90年代に普及した第2世代(2G)はデジタル方式に変わり、携帯電話で電子メールが使えるようになりました。インターネットが利用できるNTTドコモの「iモード」が始まったのも2Gの時代です。2000年代に登場した第3世代(3G)では、音楽配信や画像のやりとりができるようになりました。
 4Gが始まったのは15年ごろです。90年代には毎秒数十~数百キロビット程度だった通信速度が、4Gでは数百メガ(メガは100万)ビットまで加速し、動画がストレスなく楽しめるようになりました。2時間の映画をダウンロードするのに00年代初頭は21時間かかっていましたが、4Gでは30秒程度で済みます。
 次世代の5Gは通信速度が4Gの10~100倍の10ギガ(ギガは10億)ビット、通信容量は1000倍以上です。ハイビジョン画質の2時間程度の映画をダウンロードするのに約1.5秒しかかかりません。4Gでは解像度がフルハイビジョン(2K)程度の映像しかやりとりできませんが、5Gなら解像度がフルハイビジョンの4倍の「4K」や16倍の「8K」などの高精細な映像がスムーズに受信できます。5Gが実用化されれば、スポーツ中継で複数のカメラの映像を瞬時に合成し、視聴者が見たい視点から観戦できるようにするなど、超高速・大容量の特徴を生かした新たなコンテンツが登場しそうです。
2017年11月6日掲載