ビジュアル・ニュース解説

国連と安全保障理事会について知る

2017.10.16 掲載
北朝鮮の核・ミサイル問題をめぐり、国連の安全保障理事会の対応が注目を集めています。安保理は2017年9月、同国の核実験強行に対して石油の輸出規制に初めて踏み込む制裁決議を採択しました。しかし、安保理のこれまでの制裁措置は十分な効果を上げておらず、北朝鮮の強硬姿勢に歯止めをかけられるかは不透明です。今回は国連の成り立ちや安保理の役割、北朝鮮問題への対応などについて解説します。

1.2度の世界大戦の反省を踏まえて生まれた国連

1.2度の世界大戦の反省を踏まえて生まれた国連
 国連(国際連合、United Nations=UN)は国際平和と安全の維持、諸国間の友好関係の促進などを目的に1945年に発足した国際機関です。
 これに先立ち、同様の理念に基づき、第1次世界大戦後の20年に発足した国際連盟は、創設を提唱した米国が加盟せず、当初はソ連(当時)とドイツが加盟を認められなかったうえ、後に日本とドイツが脱退、ソ連が除名されるなど、主要国がそろいませんでした。また、意思決定は全会一致が原則だったため、戦争を防ぐ効果的な行動がとれず、第2次世界大戦の勃発を招きました。
 この反省を踏まえて生まれたのが国連です。第2次世界大戦中の42年、米国や英国、ソ連をはじめとする26カ国が、「枢軸国」と呼ばれた日本やドイツ、イタリアなどとの戦いに向けて団結するために「連合国宣言」に署名。45年6月に連合国50カ国の代表が米サンフランシスコに集まり、国連設立の目的や活動の基本を定めた国連憲章を採択し、同年10月に国連が生まれました。発足当初の加盟国は連合国を中心とする51カ国でしたが、日本は56年、東西に分裂したドイツはそれぞれ73年に加わりました。現在の加盟国は計193カ国です。
2017年10月16日掲載