ビジュアル・ニュース解説

国連と安全保障理事会について知る

2017.10.16 掲載
北朝鮮の核・ミサイル問題をめぐり、国連の安全保障理事会の対応が注目を集めています。安保理は2017年9月、同国の核実験強行に対して石油の輸出規制に初めて踏み込む制裁決議を採択しました。しかし、安保理のこれまでの制裁措置は十分な効果を上げておらず、北朝鮮の強硬姿勢に歯止めをかけられるかは不透明です。今回は国連の成り立ちや安保理の役割、北朝鮮問題への対応などについて解説します。

3.世界の平和と安全を守る責任を担う安保理(2)

3.世界の平和と安全を守る責任を担う安保理(2)
 安保理は休戦・停戦の監視、治安維持などのために人員を派遣する国連平和維持活動(PKO)や多国籍軍の承認、世界の平和を脅かす国との貿易・送金停止などの経済制裁やテロ対策の決議など、国際平和と安全に責任を持つ機関です。米国、英国、フランス、ロシア、中国の常任理事国と10カ国の非常任理事国で構成します。非常任理事国は総会で選ばれ、2年の任期で毎年半数の5カ国が交代します。世界の平和を脅かす事態が起きると招集され、対策を話し合い決議を採択します。国連憲章は国連に加盟する全ての国に安保理の決議に従う義務があることを定めています。
 安保理の決議採択には15カ国のうち9カ国以上の賛成が必要です。ただし、常任理事国には「拒否権」と呼ばれる権利があり、いずれか1カ国でも反対すれば決議は採択されません。この権利は第2次世界大戦に勝利した大国が協調して問題に取り組まなければ平和を維持できないとの考え方に基づいて採用されました。
2017年10月16日掲載