EVはエコカー(環境対応車)の一つで、車に載せた電池でモーターを動かして走行します。現在、国内で最も普及しているエコカーはハイブリッド車(HV)ですが、ガソリンエンジンと電動モーターを併用しており、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO₂)や大気を汚染する窒素酸化物(NOx)などの排出はゼロではありません。これに対しEVはモーターのみで動くため、走行中に排ガスを一切出しません。燃料を燃焼しないため静かで、エンジンルームが不要なことから車体の設計やデザインの自由度が高いのも特徴です。
EV技術の核が電池です。ガソリン車並みの走行距離やスピードを実現する蓄電容量や出力を持つ電池が開発できず、EVの実用化は遅れていました。2000年代に、蓄電容量が大きく一度充電すると長く使えるリチウムイオン電池の性能が格段に向上したことで、EVは実用段階に入りました。
EVの開発・発売で先行したのは日本のメーカーです。09年に三菱自動車が「アイ・ミーブ」、富士重工業(現SUBARU)は「プラグインステラ」、10年には日産自動車が「リーフ」をそれぞれ発売しました。これに欧州のメーカーが続き、米テスラなどの新興勢力も参入しました。