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電気自動車へシフト機運高まる

2017.10.2 掲載
電気自動車(EV)など電動車両の普及を促す機運が世界で高まっています。環境対策として石油依存からの脱却が狙いで、英国やフランスは2040年までにガソリン車やディーゼル車の販売を禁止。中国も英仏に追随する方針で、インドは国内で販売する車を30年までに全てEVにする目標を掲げています。これに対応し、自動車メーカーはEVの開発を急いでいます。今回はEVの概要や各国がEVの普及を後押しする狙い、メーカーの開発動向などについて解説します。

1.電動モーターだけで走行しCO2排出ゼロのエコカー

1.電動モーターだけで走行しCO2排出ゼロのエコカー
 EVはエコカー(環境対応車)の一つで、車に載せた電池でモーターを動かして走行します。現在、国内で最も普及しているエコカーはハイブリッド車(HV)ですが、ガソリンエンジンと電動モーターを併用しており、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO₂)や大気を汚染する窒素酸化物(NOx)などの排出はゼロではありません。これに対しEVはモーターのみで動くため、走行中に排ガスを一切出しません。燃料を燃焼しないため静かで、エンジンルームが不要なことから車体の設計やデザインの自由度が高いのも特徴です。
 EV技術の核が電池です。ガソリン車並みの走行距離やスピードを実現する蓄電容量や出力を持つ電池が開発できず、EVの実用化は遅れていました。2000年代に、蓄電容量が大きく一度充電すると長く使えるリチウムイオン電池の性能が格段に向上したことで、EVは実用段階に入りました。
 EVの開発・発売で先行したのは日本のメーカーです。09年に三菱自動車が「アイ・ミーブ」、富士重工業(現SUBARU)は「プラグインステラ」、10年には日産自動車が「リーフ」をそれぞれ発売しました。これに欧州のメーカーが続き、米テスラなどの新興勢力も参入しました。
2017年10月2日掲載