ビジュアル・ニュース解説

電気自動車へシフト機運高まる

2017.10.2 掲載
電気自動車(EV)など電動車両の普及を促す機運が世界で高まっています。環境対策として石油依存からの脱却が狙いで、英国やフランスは2040年までにガソリン車やディーゼル車の販売を禁止。中国も英仏に追随する方針で、インドは国内で販売する車を30年までに全てEVにする目標を掲げています。これに対応し、自動車メーカーはEVの開発を急いでいます。今回はEVの概要や各国がEVの普及を後押しする狙い、メーカーの開発動向などについて解説します。

3.EVの共同開発へトヨタとマツダが資本提携(1)

3.EVの共同開発へトヨタとマツダが資本提携(1)
 世界的なEV重視の流れを受け、自動車メーカーは開発方針や販売戦略を転換しています。スウェーデンのボルボ・カーが19年、英ジャガー・ランドローバーは20年以降に発売する車をそれぞれ全てEVなどの電動車にすることを明らかしました。フォルクスワーゲンは25年に約300万台のEVを世界で販売する計画で、米フォード・モーターは25年までに中国で販売する車の7割をEVなどにする方針です。国内メーカーもトヨタ自動車が19年をメドに中国市場にEVを投入することを検討しています。
 トヨタは17年10月にマツダと資本提携し、EVを共同開発します。両社は互いの経営資源を持ち寄ることでEVの技術開発を加速し、欧米勢などに対抗します。
 EVの新車種投入も相次いでいます。米テスラが17年7月、同社初の量産型「モデル3」の出荷を始めました。走行距離は約350キロメートルと日常生活には不便がなく、価格も400万円弱とこれまでの車種より低く設定しました。同年10月には日産が「リーフ」を全面改良して国内で発売。フル充電で走れる距離を従来の1.4倍の400キロメートルに延ばしました。使い勝手の良いモデルの登場はEV本格普及の原動力になりそうです。
 EVの開発・製造には電池のほか電動モーターや制御ソフトなど、ガソリンエンジンとは違う部品や技術力が必要です。ガソリンエンジンを前提としてきた部品メーカーは事業の見直しを迫られる一方、EV向けの部品・素材メーカーの存在感が高まり、自動車関連産業の構造が大きく変わる可能性があります。
2017年10月2日掲載