国内で流通するコメは2つに分けられます。1つは野菜と同じように自由な経路で流通し、値付けされる民間流通米です。その多くは地域の農協(JA)などの出荷業者に集められ、JAや卸売業者などで精米されて小売店の店頭に並びます。最近では農家が小売店や飲食店、消費者などに直接販売することも増えています。
もう1つは不作などによるコメ不足に備える政府備蓄米です。国際的な取り決めによって設定された最低限の輸入枠に基づき、政府が毎年輸入するコメもこれに含まれます。政府備蓄米は5年程度保管した後にJAなどに売り出され、飼料などに使われます。
かつてはコメが不足したり、価格が高くなりすぎたりしないように、すべてのコメの価格や流通を政府が管理していましたが、95年の食糧法の施行で販売が自由化され、2004年には同法の改正で価格も自由に決められるようになりました。味や食感など付加価値の高いコメを生み出せれば、高い価格で売ることができるようになり、産地の生産意欲を刺激しました。各産地がブランド米に力を入れるようになった背景にはこの規制緩和があります。