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新しいブランド米が相次ぎ登場 ~コメの基礎知識と販売の現状を知る

2017.9.18 掲載
全国のコメ産地がブランド米の生産に力を入れています。2017年から新たに作付け、収穫して販売されるブランドは過去最多の42銘柄に上ります。18年産からのコメの生産調整(減反)廃止に向けて、今後も新ブランドが続々と登場する見通しで、産地間の開発・販売競争はますます激しくなりそうです。今回はコメの種類や国内流通の仕組み、ブランド開発競争の激化の背景などについて解説します。

2.1995年にコメ流通が自由化

2.1995年にコメ流通が自由化
 国内で流通するコメは2つに分けられます。1つは野菜と同じように自由な経路で流通し、値付けされる民間流通米です。その多くは地域の農協(JA)などの出荷業者に集められ、JAや卸売業者などで精米されて小売店の店頭に並びます。最近では農家が小売店や飲食店、消費者などに直接販売することも増えています。
 もう1つは不作などによるコメ不足に備える政府備蓄米です。国際的な取り決めによって設定された最低限の輸入枠に基づき、政府が毎年輸入するコメもこれに含まれます。政府備蓄米は5年程度保管した後にJAなどに売り出され、飼料などに使われます。
 かつてはコメが不足したり、価格が高くなりすぎたりしないように、すべてのコメの価格や流通を政府が管理していましたが、95年の食糧法の施行で販売が自由化され、2004年には同法の改正で価格も自由に決められるようになりました。味や食感など付加価値の高いコメを生み出せれば、高い価格で売ることができるようになり、産地の生産意欲を刺激しました。各産地がブランド米に力を入れるようになった背景にはこの規制緩和があります。
2017年9月18日掲載