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新しいブランド米が相次ぎ登場 ~コメの基礎知識と販売の現状を知る

2017.9.18 掲載
全国のコメ産地がブランド米の生産に力を入れています。2017年から新たに作付け、収穫して販売されるブランドは過去最多の42銘柄に上ります。18年産からのコメの生産調整(減反)廃止に向けて、今後も新ブランドが続々と登場する見通しで、産地間の開発・販売競争はますます激しくなりそうです。今回はコメの種類や国内流通の仕組み、ブランド開発競争の激化の背景などについて解説します。

1.国内で最も生産量が多いコシヒカリ

1.国内で最も生産量が多いコシヒカリ
 世界で作られるコメはジャポニカ米とインディカ米に大別できます。ジャポニカ米は主に日本など東アジアで栽培され、粒の形が丸く短く、粘り気があってふっくらと炊き上がります。一方、インディカ米はインドから中国南部にかけての地域など、比較的気温が高い地域で栽培されており、粒が細長くパラパラした感じに炊き上がります。私たちに身近なのはジャポニカ米ですが、世界で作られるコメの多くはインディカ米です。
 このほか、上の図のように栽培方法や含まれるでんぷんの性質、用途などによっても分類でき、味や栽培の特性の違う様々な品種があります。
 国内で作付面積がトップの品種は「コシヒカリ」です。品種改良によって新潟県で誕生し、福井県で育成されたコシヒカリは1956年に品種登録されました。味は非常に良いものの、背が高くて倒れやすく病気に弱い欠点があったため、当初は栽培が広がりませんでした。しかし、その後の品種改良などで欠点を克服し、現在では東北地方から九州地方まで全国各地で栽培されています。その後に誕生した「ひとめぼれ」「ヒノヒカリ」「あきたこまち」などの人気品種もコシヒカリから派生したものです。 
 国内では戦後、食糧の安定供給を目的に制定された主要農作物種子法で、都道府県にコメの種子の開発、普及が義務づけられ、各地の気候に合った様々な品種が生まれました。各産地は地域に根ざした特徴を前面に打ち出すことで、コメのブランド化を図ってきました。政府も69年に農産物検査法に基づくコメの銘柄登録制度を創設。銘柄登録されたコメがブランド米です。
2017年9月18日掲載