ビジュアル・ニュース解説

VRについて知る

2017.6.19 掲載
360度の3次元(3D)画像やCG(コンピューターグラフィックス)を使ってつくり出した環境に入り込んだような感覚を味わえる仮想現実(VR)が本格的な普及期を迎えています。「VR元年」といわれた2016年には専用のゴーグル型機器が次々と登場しました。17年夏には東京・新宿にVRの大型娯楽施設が開業する予定で、気軽にVRを楽しめる環境が拡大。医療などへの活用も進んでいます。今回はVRのあらましや歴史、ブームの背景、今後の展望などについて解説します。

1.実際には存在しない空間を現実のように感じさせる技術

1.実際には存在しない空間を現実のように感じさせる技術
 VR(Virtual Reality)はCGによる人工的な空間や現実の風景を取り込んだ映像をゴーグル型の機器に映すことで、その場所にいるかのように感じさせる技術です。スタジアムの観客席にいるかのようにスポーツを観戦したり、深海や宇宙空間などの通常は行けない場所を疑似体験したりできるほか、SFやファンタジーのような非現実の世界もCG映像によって楽しめます。
 頭に装着するゴーグル型の専用機器は「ヘッドマウントディスプレー(HMD)」と呼ばれます。高解像度のディスプレーを内蔵し、装着した人が上下左右どの方向を見ても臨場感のある映像を映し出します。
 16年にはHMDの発売が相次ぎました。3月に米フェイスブック傘下のOculusが「Rift」の出荷を始め、翌4月には台湾の宏達国際電子(HTC)が「ヴァイブ」を発売。10月にはソニー・インタラクティブエンタテインメントが家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)4」でVRコンテンツを楽しめるHMD「PSVR」の販売を始めました。HMDの充実でVRは注目を集めており、特にPSVRは価格がPS4と専用カメラを合わせて10万円を切る安さから、17年6月時点の販売台数が世界で100万台を超えてブームのけん引役となっています。
2017年6月19日掲載