EL(Electro Luminescence)とは物質に電圧をかけると発光する現象で、そのうち炭素を含む有機化合物によるELを有機ELといいます。有機ELを利用して発光する半導体素子が有機発光ダイオード(OLED=Organic Light Emitting Diode)で、これを使って表示するディスプレーが有機ELパネルです。
有機ELパネルは現在主流の液晶に代わる次世代ディスプレーの有力候補です。画像はコントラスト(明暗)がはっきりしており、応答が速いので動画の表示能力に優れます。有機化合物が自ら発光するので、液晶のように光源(バックライト)が要らず、基板にガラスだけでなく樹脂も使えるため、曲げるなど形状の加工がしやすいのが特長です。
有機ELパネルを生産するには、真空中で赤・緑・青に発光する有機化合物を気化させて回路基板に付着させる「蒸着方式」と、液体の発光材料をプリンターのように塗り分ける「印刷方式」の2方式があります。現在、実用化されているのは蒸着方式で、韓国のサムスンディスプレーやLGディスプレーなどが採用しています。印刷方式は2015年にパナソニックとソニーの有機EL事業を統合して設立されたJOLED(ジェイオーレッド)などが量産技術の開発を進めています。真空状態にするための設備が要らないため、蒸着方式よりコストを削減できます。JOLEDは16年に世界で初めて印刷方式で有機ELパネルを試作しましたが、まだ精度が低く量産技術は確立されていません。